当教室に2年ほど通っておられる生徒さんのお話です。
彼女は、数あるパンの中でも、ハード系のパンが大好き。
自分好みのパンを焼くのはすごく楽しいですよね。
私もそうでしたが、他のメニューを学んでも、やっぱり、自分が一番好きなパンに戻ってきて、いつも同じパンばかり焼いちゃうって人も多いと思います。
でも彼女のすごいところは、好みだけに偏らず、一通り学んだパンをちゃんと自分で焼いていること。
菓子パンも食パンもクロワッサンも自宅で種を起こして丁寧に焼き続けています。
先日、その方と食パンのレッスンをしたときのこと。
生地を丸める手つきが、とても優しく、まるで生地を包み込むようでした。
「それそれ!それが食パンの丸め。」
思わず叫んでしまいました。
「いい丸めですね。前と比べて変わりましたね。これなら柔らかなパンができあがりますね。」
とお伝えしたら、
「全く自分では気づいていませんでした。無意識でした。」
とおっしゃっていました。
同じ丸めでも、パンの種類によってやり方は違います。
ハード系ならリズムよく弾むように。
食パンならふんわり優しく包むように。
以前の彼女は、食パンの時もハード系のリズムで丸めをしていました。
でも今回は違ったのです。
柔らかな食パンを焼く手つきが、からだに刻みこまれていたのを感じました。
その時に思ったんですよね・・・
技術を習得するには、最初は見て真似てもらうことからで、
そこから少しずつ、からだが記憶していくんだって。
私の動きが移っていく感覚。
感覚が移り、からだに刻み込まれることで、少しずつ技術は確かなものになっていくのです。
今日は、その瞬間を目の前で感じられた、嬉しい出来事があったのでご報告させていただきました。
パン作りは、頭で理解するだけではなく、繰り返し作ることで、自然と感覚に落とし込めます。
何も難しい事ではありません。ただ、ただ生地と向き合えばいいのです。

